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うえはすむら335ごうこふん? / ごんげんやまこふんぐん
殖蓮村335号古墳? / 権現山古墳群
伊勢崎市指定史跡 権現山遺跡

※写真は全てクリックで拡大します※


権現山古墳群中の一基

群馬で一番低い山とされている「八寸(はちす)権現山」に築かれた直径20mほどの円墳で30基ほどで構成される権現山古墳群

『上毛古墳綜覧(1938)』には旧殖蓮(うえはす)村の項で、権現山周辺(権現山、権現北、権現西、権現前)に105基を数える古墳が 記載されていたという。

昭和初期の耕地整理や、その後の開墾により、ほとんどが破壊、削平され、現在では、権現山周辺は住宅地と化し、山の斜面の松林の中に10数基残るのみである。
 

発掘調査

1970年(昭和45年)、権現山の山裾を東から北へ回る市道の拡張工事により山側が2mほど掘削されたが、その際、3号墳の石室がブルドーザーに当たった為、掘削箇所にかかる4基の古墳(1号墳4号墳)の緊急調査が行われた。

他の古墳については古い時代に調査されたものもあるようだが(調査報告は不明)、近年、きちんとした学術調査が行われたものはない。


豊城入彦命の墳墓説

蓮神社が鎮座する権現山には豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)の墓という言い伝えがあり、これが豊城町(とよしろちょう)の名の由来になっているとのこと 。
豊城入彦命は、東国を平定し、上毛野氏や下毛野氏の祖となった)

総社二子山古墳前二子古墳など豊城入彦命の墳墓とされる古墳は群馬県内に複数存在する 。

権現山古墳群は小規模の円墳で構成されており、このうちの一つが豊城入彦命の墳墓とは考えにくい 。

武器類の出土が著しいことから武人の墳墓ではないかという説もある。
 



権現山古墳群 推定分布図
(資料を基に独自に作成したもの)

現地で確認した古墳と資料に
ある古墳名の一致が推定
できたもののみを記載

 

見学しやすい群衆墳

『権現山』とはいうものの、山というより、住宅街の中の小高い丘のようなもので、東側には蓮(はちす)神社が鎮座している

山全体が保安林として指定されており「はちす権現山公園」としてきれいに整備されている

少なくとも10数基の古墳の墳丘、石室材らしきものが現存している。

下草も刈り取られているので、西側の遊歩道を一周して、古墳が密集している様子を鑑賞することができる。

 


殖蓮村335号墳か?

左の写真の古墳は公園の北側から遊歩道を入ると右手(西側)に所在する。

公園北側の住宅に隣接して、かなりはっきりとした墳丘が分かる。

群馬県古墳総覧」分布図で、最も近いと思われる地点に印があるのが殖蓮村335号墳で、この古墳の他にはそれらしきものがないので、これが殖蓮村335号墳と推定した。

しかし、「群馬県古墳総覧」分布図にはこの権現山に所在すると思われる全ての古墳位置がポイントされているわけではない。

群馬県古墳総覧」古墳一覧表には同番地に所在する古墳が他にも複数存在するので違う古墳の可能性もある。


▲墳丘の南側から

墳丘がわりと形良く残っている
 

▲墳丘南東の木の根元

石室材と思われる大き目の
石が複数露出している

 
所在地 群馬県伊勢崎市豊城町1988-2
(佐波郡殖蓮村大字八寸字権現山1989ノ3)
アクセス
駐車場

ポイントは2号墳
伊勢崎市の古墳地図
史跡指定 伊勢崎市指定史跡 「権現山遺跡」
1966年(昭和41年)4月12日指定
群馬県古墳総覧」では1号、2号墳のみ「市史跡」
別名 殖蓮村335号古墳『上毛古墳綜覧(1938)』
築造年代  
形状 円墳
30尺(約9m)
埋葬施設  
出土品  
周辺施設  
調査暦   更新履歴

探検日(写真撮影日)  2019年04月22日
最新データ更新日  2019年09月26日

文献 『上毛古墳綜覧』 1938 群馬県
【参考文献】
群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編
□「古墳めぐりハンドブック」群馬県立博物館

群馬の遺跡〈4〉古墳時代1―古墳
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【目次】
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群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社
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サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

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