古墳の森TOP群馬の古墳前橋市の古墳

まえばしてんじんやまこふん
前橋天神山古墳
【MAEBASHI-TENJINYAMA Mounded Tomb】
探検日(写真撮影日)  平成14年04月28日
データ作成日  平成15年01月10日
最新データ更新日  平成18年10月06日

史跡指定群馬県指定史跡 昭和45年12月22日
国指定重要文化財 上野前橋天神山古墳出土品 昭和54年6月6日
別名 上川淵71号墳(上毛古墳綜覧)
所在地 群馬県前橋市広瀬町1-27-7アクセス 前橋市(中央)の古墳地図
古墳の概要

↑巨大な古墳であったものが、粘土槨の部分のみを四角く残し、後は削平されているのが、妙にもの悲しい。

削平される以前の大きさの大古墳をイメージしていると見過ごしてしまうかもしれない。

↓削平される以前の古墳の姿。
広瀬古墳群中の一基。

前橋天神山古墳周辺は、群馬における古墳の密集地帯として著名で、『上毛古墳綜覧』によれば、大小約150基を数える。古式の古墳から終末期の古墳まで各期のものがある。本墳はこうした古墳群の中にあって、中心的部分に位置を占め、かつ最も祖元的なものと考えられる。


【種類】

前方後円墳
3段築成
前方部が南西に向く

【サイズ】
全長:129m
後円部径:75m
後円部高さ:9m
前方部幅:68m
前方部高さ:8m


【築造年代】
4世紀後半
 
【調査】
昭和43・44年度
群大史研・前工歴史研究班調査、前方後円、竪穴式粘土槨
埋葬施設上位、下位の2埋葬施設がある。
 

↑現在は埋葬主体部の粘土槨のみが保存
されている。
我々が訪れた時には草が生えており、よく
確認できなかった。
■下位施設〜主体

【墓坑】
長辺:20m以上
短辺:15m
深さ:3.5m

・底部に向かって、中途に桟敷状の段をもちながら狭まる。
・底部中央部分は、さらに1mほど掘りくぼめられ、粘土槨が構築

【粘土槨】

・位置:後円部中央部
・主軸:墳丘の主軸
・長さ50cm〜60cmの粘土塊をほぼ垂直に積み上げ、その上端は平坦になっていた。板などによって覆われていたものと思われる。
・槨壁の内側下部には、網代痕があり丹による彩色も見られた。

【巨大な割り竹型木棺】
長さ約8m
幅1.2m前後
底部は朱に染まっていた

■上位施設

・位置:墳頂部のほぼ中央
・主軸:墳丘に平行
・墳頂上の石敷上面をそのまま窪めた礫床状のもの
・上縁7.5m、最大幅1.5m、深さ50cmのやや舟形
・盗掘によって攪乱されてしまったため詳細は不明

出土遺物
【墳頂部】
石田川式土器(※)が円筒埴輪列のように配列。
(※)壺形土器(底に穴があけられた壺の形をした土器)、古式土師器。

【槨内の副葬品】

『国指定重要文化財 上野前橋天神山古墳出土品』 昭和54年6月6日
東京国立博物館収蔵

変形獣形鏡、半円方格帯画像鏡、二禽二獣鏡、三角縁四神四獣鏡の銅鏡5面をはじめ、祭祀用具とみられる碧玉製紡錘車4、鉄製大刀5、鉄製剣12、白銅製鏃30、鉄製鏃78、靫3、鉄製刀子1などの武器や武具、鉄製斧4、鉄製やりがんな8、鉄製鑿3、鉄製削り小刀1などの生産用具、土師器壷1個、ほかに用途不明の鉄製釣針状金具5本、鉄製針状金具7本、鉄製棒状金具4本など、合わせて15種類165点。

周辺施設
【周堀】
幅は、最も広い所で部分的に46mを超える広大なものであったが、その平面的形状は明らかにすることはできなかった。

【葺石】
墳丘中段・下段の平坦面には葺石が施され、上段斜面には直斜状に石が葺かれていた。 その斜面にはほぼ直斜状に葺石が施されていた。また、その斜面平坦部にも敷石が認められた。特に墳丘裾部の最下段の平坦面は、幅広くテラス状に敷石が施され、その外縁は周堀の法面の葺石に連なっていた。
後円部頂上部にも石敷があった。

【埴輪列の祖形?】
後円部頂上部に埴輪の祖形とみられる底部穿孔壷形土器(石田川式土器)などが配列されていた。
その他 

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上州路散歩24コース

著者:群馬県歴史教育者協議会
出版社:山川出版社(千代田区)
サイズ:新書/220p
発行年月:2004年01月
税込 1,470 円

上州路の散歩コースと散歩事典。東国一の古墳文化上毛野、江戸北辺の守り上州、近代化遺産の宝庫群馬、常に時代の先端であった上州の地を訪ねる。
【目次】
第1部 上州路散歩24コース(相沢忠洋ゆかりの地を訪ねる/古墳時代上毛野の豪族をしのぶ/赤城山南麓の古墳群を巡る/上野国府・国分寺周辺を歩く/上野三碑ゆかりの地をたどる/中世新田荘を歩く/上野の名城箕輪城周辺を歩く/白井城と白井宿を歩く/東毛の山城に戦国をしのぶ/上州真田氏ゆかりの地を巡る ほか)/第2部 上州路散歩事典
東国古墳時代の研究

著者:右島和夫
出版社:学生社
サイズ:単行本/394p
発行年月:1994年05月
税込 7,646 円

【目次】
第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

著者:群馬県埋蔵文化財調査事業団
出版社:上毛新聞社
サイズ:単行本/177p
発行年月:2004年11月
税込 1,300 円

【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

 

 

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