※写真は全てクリックで拡大します※

大室古墳群は、国指定史跡となっている4つの前方後円墳を中心に、20数基の古墳から成り、現在、大室公園内に6基が保存整備されている。

前二子古墳、中二子古墳、後二子古墳の３基の大方前方後円墳は、畿内でも大型の前方後円墳が造られなくなる6世紀初頭から後半にかけて相次いで築造された 。

この赤城山南麓にはこの古墳を取り巻くように1000基以上の古墳が存在したと言われているが、この３古墳に匹敵するほど大規模で、しかも隣接して３基並んでいるのは、群馬県でも他に例が なく、この古墳群を造営した豪族の威勢を思わせる。

▲大室古墳群分布図
　

【内堀遺跡群】

「大室公園｣として大々的に整備するにあたり、公園予定地内の埋蔵文化財が調査されたが、その総称を内堀遺跡群という。

便宜上、内堀遺跡、上縄引遺跡など別の名称をつけられてはいるが、3基の大型前方後円墳を中心とした一つの 大室古墳群を形成している。

古墳名についているＭは古墳（マウンドか？）の略称で内堀遺跡では6基数えられている。
（他にH（住居跡）、C（周溝墓）、Ｚ(石槨墓)などの多数の遺構が確認されている）
　

【被葬者と上毛野氏】

この地は上毛野氏の本拠地で、古墳群は上毛野氏の墳墓ではないかと言われている。
（毛野氏とは東国を治めた第10代崇神天皇の長子・豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)の子孫で、後に上毛野氏、下毛野氏に分かれた ）

1878年（明治11年）、前二子古墳、後二子古墳の石室が開けられ、 それぞれ豊城入彦命、御諸別王の陵墓として申請されたが、 決定的な根拠に欠くとして、治定されなかった。
　

【内堀遺跡群 M-3号墳】

M-3号墳は、 大室公園内の内堀遺跡群内の古墳の一基である。

1935年（昭和10年）の群馬県下の古墳の一斉調査では、記載漏れの古墳のようである。

消滅ではなく、現存する旨、藤岡市教員委員会に確認済みであるが、なぜか「群馬県古墳総覧〈2017〉」にも記載されていない。

大室公園整備に伴い、最初に行われた昭和62年の調査時に確認された4古墳 （M-1号墳〜Ｍ-4号墳）のうちの一基である。

前橋市埋蔵文化財発掘調査団による調査報告書「内堀遺跡群」によれば、調査時には、墳頂は削られており、周堀が巡ることは確認されたものの、副葬品、埴輪など一切の遺物が出土せず、築造年代も不明ということである。

その次に出された調査報告書「内堀遺跡群ＩＩ」では、名称が「M-2号墳」となっており、M-4号墳が、Ｍ-3号と されており、多少混乱したが、後に続く報告書では番号は戻っており、取り違え？と思われる。
　

▲「内堀遺跡群ＩＩ」より

【推定地の異説】

左の下二枚の写真はM-4号墳と中二子古墳の北西の角を結んだ線の真ん中付近である。

ネット上では、この高まりを、Ｍ-3号墳としているサイトもあった。

当方では、その北側の区画の中央付近と推定したが、古墳前に標識などがなく、そちらが正しい可能性もあるので、参考として併記しておく。

また、付近には未確認の古墳の存在も複数、推定されているとのことであり、未調査の古墳の可能性もありか？