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ながくぼこふんぐん(しんとうむらこふん)
長久保古墳群(榛東村古墳)
 

※写真は全てクリックで拡大します※


長久保古墳群

長久保古墳群は旧桃井村、現在の北群馬郡榛東村(しんとうむら) の字新井(旧小字が長久保)に所在する。

個々の古墳の名称は「長久保古墳群〇号墳」「榛東村古墳第〇号墳」「榛東村新古墳台帳〇号墳」「桃井村○号古墳」など様々あ り、数字が統一されてはおらず、非常に紛らわしい。
(ここでは基本的に「長久保古墳群」の号数を優先することにする)

1935年(昭和10年)の群馬県下の古墳の一斉調査では、北群馬郡桃井村には140基の古墳の記載されており(上毛古墳綜覧〈1938〉)、そのうちの2基のみ記載があるようである。

1976年(昭和51年)〜1978年(昭和53年)、つつじが丘団地造成に伴い、日本窯業研究所により発掘調査が行われた。

分布調査では42基の古墳が想定されていたが、調査の結果、前方後円墳2基、円墳20基の合計22基が確認されたのみである。

群馬県古墳総覧」 には長久保古墳群K1号墳〜40号墳で、上記の調査結果通りの22基の記載がある。

番号が40号まであり、途中の番号が抜けているのは、事前に古墳と想定し、42基分の番号を割り振っていて、その後、古墳でないことが確認されたものがあるためかもしれない。

なお、「マッピングぐんま」には長久保古墳群は14基と記載されており、調査後、団地造成の際に8基は破壊されたのか。

現在、緑地公園(つつじヶ丘団児童公園)内に円墳5基が現状保存されている。

その他、周辺の私有地などに数基残存しているようである。

前方後円墳の31号墳、36号墳なども、高台の私有地内に石室が開口しているとの情報もあったが、時間の関係で今回は割愛した。
 

長久保古墳群の特徴

調査の結果、長久保古墳群は7世紀初頭から100年の間に形成され、当時、この地域の中心をなしていたものと推定されている。

調査された古墳はいずれも横穴式石室で、斜面を彫り込んで石を据えている。

丘陵を利用して造られた山寄せ式のため、一見して、自然の地形なのか、古墳なのか分かりにくい。

1935年(昭和10年)の群馬県下の古墳の一斉調査で、桃井村の古墳として2基しか数えられず、また、分布調査での想定した古墳数と実際の数にかなりの差異があったのはこのためかもれしない。
 


▲広報しんとう 2010年5月号より抜粋
 



▲長久保古墳群分布図(当方で確認できたもののみ)

赤い○の数字は長久保古墳群の号数、青は対応する榛東村古墳番号
 


長久保15号墳(榛東村第15号)

 


長久保19号墳(榛東村第14号)


長久保21号墳(榛東村第16号)

 


長久保22号墳(榛東村第13号)


長久保34号墳(榛東村第12号)

 


長久保25号墳(榛東村第17号)


▲36号墳付近?

公園より高台の私有地内にある
2基の前方後円墳のうちの1基。
古墳群の中心的存在と思われる
 


▲31号墳付近?

公園より高台の私有地内にある
2基の前方後円墳のうちの1基。
古墳群の中心的存在と思われる
 
長久保古墳群 一覧表
群馬県古墳総覧 榛東新古墳台帳番号 現状 墳形 主体部 その他
長久保古墳群K1号墳  

×

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群3号墳

榛東村新古墳台帳20号墳

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群4号墳

榛東村新古墳台帳19号墳

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群7号墳

榛東村新古墳台帳18号墳

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群10号墳  

×

袖無型横穴式石室  
長久保古墳群14号墳  

×

横穴式石室  
長久保古墳群15号墳

榛東村新古墳台帳15号墳

両袖型横穴式石室 公園内に保存
長久保古墳群19号墳

榛東村新古墳台帳14号墳

両袖型横穴式石室 公園内に保存
長久保古墳群21号墳

榛東村新古墳台帳16号墳

両袖型横穴式石室 公園内に保存
長久保古墳群22号墳

榛東村新古墳台帳13号墳

両袖型横穴式石室 公園内に保存
長久保古墳群25号墳

榛東村新古墳台帳17号墳

袖無型横穴式石室 公園外に保存?
長久保古墳群27b号墳  

×

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群28号墳

榛東村新古墳台帳10号墳

両袖型横穴式石室 桃井村88号古墳
長久保古墳群29b号墳

 

×

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群31号墳

榛東村新古墳台帳21号墳

前方後円 両袖型横穴式石室 桃井村86号古墳
長久保古墳群33号墳

榛東村新古墳台帳11号墳

両袖型横穴式石室  
長久保古墳群34号墳 榛東村新古墳台帳12号墳

両袖型横穴式石室 公園内に保存
長久保古墳群36号墳

榛東村新古墳台帳22号墳

前方後円 不明(未調査)  
長久保古墳群37号墳

榛東村新古墳台帳23号墳

×

(積石塚) 不明(未調査)  
長久保古墳群38号墳  

×

横穴式石室  
長久保古墳群39号墳  

×

横穴式石室  
長久保古墳群40号墳  

×

両袖型横穴式石室(未調査)  
所在地 群馬県高北群馬郡榛東村新井2918他(字長久保) つつじが丘児童公園周辺 アクセス
駐車場
別名 「長久保古墳群」
「榛東村古墳」
「桃井村古墳」
形状 合計:22基 前方後円墳:2基 円墳:20基
14基(マッピングぐんま)
埋葬施設 横穴式石室
出土遺物 太刀、鉄鏃、耳環、玉類等
土師器、須恵器、埴輪
周辺施設  
調査暦 (発掘)昭和51.12.4〜昭和53.5.30
(測量)昭和49
更新履歴

探検日(写真撮影日)  2020年11月06日
最新データ更新日  2020年12月20日

文献 『長久保古墳群発掘調査略報』 1978 日本窯業史研究所
『榛東村誌』 1988 榛東村
【参考文献】
□「群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編」群馬県教育委員会事務局文化財保護課
□上毛古墳綜覧〈1938〉
「群馬県遺跡台帳II (西毛編)」
群馬の古墳物語 ―東国の古墳と文化を探る― 下巻 少林山台古墳群
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ぐんま古墳探訪―見て学ぶ東国文化の輝き

 


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上州路散歩24コース

著者:群馬県歴史教育者協議会
出版社:山川出版社(千代田区)
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上州路の散歩コースと散歩事典。東国一の古墳文化上毛野、江戸北辺の守り上州、近代化遺産の宝庫群馬、常に時代の先端であった上州の地を訪ねる。
【目次】
第1部 上州路散歩24コース(相沢忠洋ゆかりの地を訪ねる/古墳時代上毛野の豪族をしのぶ/赤城山南麓の古墳群を巡る/上野国府・国分寺周辺を歩く/上野三碑ゆかりの地をたどる/中世新田荘を歩く/上野の名城箕輪城周辺を歩く/白井城と白井宿を歩く/東毛の山城に戦国をしのぶ/上州真田氏ゆかりの地を巡る ほか)/第2部 上州路散歩事典
東国古墳時代の研究

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発行年月:1994年05月
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【目次】
第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

著者:群馬県埋蔵文化財調査事業団
出版社:上毛新聞社
サイズ:単行本/177p
発行年月:2004年11月
税込 1,300 円

【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない
 

 

 

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