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     わたぬきかんのんやまこふん / わたぬきこふんぐん
国指定史跡 綿貫観音山古墳 / 綿貫古墳群
 

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綿貫古墳群中の一基

古墳時代後期の代表的な古墳 。

岩鼻町〜綿貫町にかけて、5世紀中頃から6世紀後半の間に、計画的に築造された大型の前方後円墳4基と周囲の円墳群から成る綿貫古墳群で最後に築造された。

石室は崩落していたが、現在は復元されている
 

石室は未盗掘で発見

石室は盗掘されていることがほとんどであるが、この古墳は天井石が崩落していたため、入ることができず、盗掘を免れた 。

副葬品が葬られた時のままの状態で出土するのは極めて稀

副葬品の総数は500点を越え、中でも百済・武寧王陵の石室から出土した獣帯鏡と同じ鋳型から製作された獣帯鏡など、中国や朝鮮半島との関わりを示すものが多数あった


被葬者は相当な権力者

50〜60代の人物の骨と歯が発見されている

巨大な前方後円墳に、巨大石室、豪華で、多彩な副葬品から相当力をもった豪族の墳墓であることは間違いない

中央からこの東国へ遣わされた豊城入彦命の子孫である上毛野氏の墳墓の可能性も 言われている。

ちなみに、管理人さんによると、「三人童女」が出土したことから、この墓は韓国由来のものであると韓国の人が来て拝んでいったとのこと

被葬者が渡来系の人物であったとは思えないが、何らかのつながりがあったことは間違いないだろう


首長権継承儀礼か?


▲後円部、横穴式石室開口部から
前方部にかけて中段テラスに
配列された形象埴輪群

・人物埴輪は主に石室入口側の中段平坦面に配置

・石室入口部に靫負、三人童女、巫女、楽人などのグループ、くびれ部に貴人、武人などの人物群が配列。

・前方部側部には盾と円筒列

・前方部の両コーナーには馬、中央には農夫。

・東側は円筒列がめぐり形象埴輪の
存在は明らかではない

・前方部頂部には家

・後円部頂部には家、器財、鶏形埴輪

埴輪祭式が最も発達した時期のものである

「三人童女」は国内での例がなく、韓国で出土例があり、韓国との関連性が指摘されている
 



▲南側から

史跡公園として、整備されており
管理事務所や駐車場も完備
 



▲駐車場から

左が前方部、右が後円部
高さはほぼ等しい
 

▲後円部

茶色の部分は周堀部分
盾形でかなり幅広い
 

▲後円部から前方部を撮影

ゆるやかで、高低差は
それほど感じられない

▲石室前の説明板

▲観音山古墳石室修理実測図

発掘時には一部崩落していたが
現在は修復されている
 

▲二段築成の中段に
南東向きに開口する横穴式石室

普段は施錠されている

▲古墳王国群馬で
最大の規模を誇る石室

石棺はなく、玄室奥半に間仕切石
と白石を棺座のようにしつらえる
 

▲角閃石安山岩の切石の互目積

崩落防止のため、ところどころ
L字の切り込みを入れ組まれている
 

▲羨道

奥半を角閃石安山岩の転石
前半は河原石を小口積
 

▲説明板(文化庁・群馬県教育委員会による)
 




▲公園入り口にあった説明板

史跡指定 国指定史跡 1973年(昭和48年)4月14日
国指定重要文化財『群馬県綿貫観音山古墳出土品』1982年(昭和57年)6月5日指定
別名 岩鼻村22号墳 上毛古墳綜覧〈1938〉
所在地 群馬県高崎市綿貫町字観音山1572
所有者:群馬県
築造年代 6世紀末〜7世紀前半 アクセス
駐車場

▲南側に「史跡観音山古墳管理事務所」と見学者用の駐車場とトイレがある
形状 前方後円墳 2段築成
全長:97.24m  周濠含め:178m 周濠幅:143m 
後円部径:61m 後円部高さ:9.4m
前方部幅:63m 前方部高さ:9.1m
埋葬施設

横穴式石室 両袖型
全長:12.65m 玄室長:8.12m
奥壁幅:3.95m  奥壁高:2.68m
羨道長:4.53m 羨道奥幅:2.40m 羨道奥高:1.39m
入り口幅:1.34m 入り口高:1.18m・

出土品 【周堀】埴輪(円筒、人物)、土師器、須恵器
【墳丘】埴輪(円筒、人物、馬、器財、家、鳥)、土師器、須恵器
【埋葬施設】土師器、須恵器、刀、馬具、武器、鉾、冑、小札、無、ガラス玉、鏡、耳環、水瓶、人骨、歯
(群馬の森県民歴史博物館所蔵)
周辺施設 【葺石】なし
【周堀】 盾形で内堀、外堀と中堤がある
内堀:深さ1.2mから1.5mで幅は21mから25m前後
中堤幅:10m前後 外堀:幅4mから5m
参考資料 『綿貫観音山古墳T 墳丘・埴輪編』 1998 (財)群馬県埋蔵文化財調査事業団、『綿貫観音山古墳U 石室・遺物編』 1999 (財)群馬県埋蔵文化財調査事業団
発掘 (発掘)昭和43.3.4〜昭和43.3.17、昭和43.7.25〜昭和43.8.25、昭和43.11.20〜昭和43.12.6、昭和51.4.1〜昭和54.3.31(測量)昭和40.3  

探検日(写真撮影日)  2002年04月28日
第二回探検日(写真撮影日)  2018年05月07日
最新データ更新日  2019年01月01日

旧写真  (撮影日 平成14年04月28日)



【参考文献】
□「古墳めぐりハンドブック」群馬県立博物館

群馬の遺跡〈4〉古墳時代1―古墳
東アジアに翔る上毛野の首長 綿貫観音山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」119)
スソアキコのひとり古墳部 (コミックエッセイの森)
東国大豪族の威勢・大室古墳群 群馬 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
関東古墳探訪ベストガイド
関東・甲信越古代遺跡ガイド
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【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

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目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

 

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