古墳の森TOP群馬県の古墳高崎市の古墳高崎市の古墳地図   群馬県の探検古墳一覧


         かんのんづかこふん / やわたこふんぐん
国指定史跡 観音塚古墳 / 八幡古墳群
 

※写真は全てクリックで拡大します※


八幡古墳群中の一基

古墳群の中心を成す3基の前方後円墳のうちの1基 。

群馬県内では、最後に造られた大型前方後円墳と考えられている。

大和の石舞台古墳と対比して『群馬の石舞台古墳』と呼ばれる。

名の由来は以前、墳丘上に観音様のお堂があったため。

史跡としての登録名は「観音塚古墳」だが、良くある名前なので、他の観音塚古墳と混同しないように「八幡観音塚古墳(やわた)」と呼ばれる 。

ちなみに、出土品の登録名は「上野国八幡観音塚古墳出土品」で文化庁の文化財データベースによると(はちまん)の読みになっている 。


未盗掘で発見された石室

第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)3月、地元の人たちが防空壕を掘った際、偶然に横穴式石室の入口部を露出させ手つかずの状態の、おびただしい
量の副葬品が見つかったという。

質・量ともに群を抜いていて、綿貫観音山古墳(高崎市綿貫町)や金鈴塚古墳(千葉県木更津市)と対比ができる

4面ある銅鏡のうち、画文帯神獣鏡は埼玉県行田市の稲荷山古墳から出土したものと同じ型から 、作られたものであることが判明した。

また、仏教文化のうかがえる遺物としても大変重要である。
 

古墳が造られた時代背景

前方後円墳を築造してきた各地の豪族がヤマト政権の直接支配下に組み込まれ、次第に前方後円墳が築造されなくなってきた頃、この観音塚古墳は造られた 。

また、こうした巨石を使う石室はこの地域では見られなかったもので他地域から導入したと考えられる。

ヤマト政権が東国の支配を強化していこうとする中でこれだけ巨大な前方後円墳と巨大な横穴式石室を築き 、豪華で豊富な副葬品を石室内に納めていたということは観音塚古墳にかかわる豪族の
権勢がうかがい知れる
 



▲105mにも及ぶ巨大前方後円墳

本格的な発掘調査は
まだ行われていない
 


▲基壇、南に開口する石室入口
見学は自由にできる

 

▲奥壁からかけわたされた天井石の
巨大さは群馬県内では珍しく
最大のものは60トン近くあるとも
 

▲玄室奥は棺座のように一段高い
 

▲観音塚古墳墳丘実測図

前方部の幅、高さが発達している
古墳時代後期の前方後円墳
 

▲観音塚古墳石室実測図

巨石使用の石室は東国最大級
 

▲画文帯環状乳神獣鏡と五鈴鏡

▲銅承台付蓋鋺
 

↓Googleストリートビューで、石室内部が見られます↓

 
 
史跡指定 国指定史跡 『観音塚古墳』  1948年( 昭和23年)1月23日
国指定重要文化財 『上野国八幡観音塚古墳出土品(こうずけのくにやわたかんのんづかこふんしゅつどひん)』
1948年(昭和36年)2月17日指定
別名 碓氷郡八幡村7号古墳 上毛古墳綜覧〈1938〉 所在地 高崎市八幡町後観音1087、観音塚1031〜1035外
【所有者】高崎市
築造年代 7世紀代前半頃
形状 前方後円墳 前方部は4段、後円部は3段構成  主軸:東西方向
全長(推定):105m
前方部幅:105m 前方部高さ:14m
後円部径:70m 後円部高さ:約12m
アクセス
駐車場

▲観音塚考古資料館を拠点に周囲の古墳を回ると良い
埋葬施設

横穴式石室 両袖型素形
全長:15.3m 玄室長さ:7.15m
奥壁幅:3.55m 奥壁高さ:2.8m
羨道長さ:8.26m 羨道幅:1.95m

出土品 【副葬品】30種類約300余点。
鏡4(五鈴鏡を含む)、金環14、銀研1、銅鋺2、銅承台付蓋鋺2、銀装大刀4、挂甲小札、金銅製馬具類、鉄斧、鎚鉋、須恵器等
【墳丘】円筒埴輪 (観音塚考古資料館蔵)
周辺施設 葺石、周掘
発掘 (発掘)昭和24.8〜昭和24.9 群馬大学
平成2、高崎市教育委員会
平成20.8.28、平成20.9.16〜平成20.9.25
(測量)昭和35.8 群馬大学
参考資料 『上野国八幡観音塚古墳調査報告書』 1963 群馬県
観音塚古墳調査報告書』 1992 高崎市教育委員会
 

探検日(写真撮影日)  平成14年00月00日
最新データ更新日  2019年01月16日

【参考文献】
□「古墳めぐりハンドブック」群馬県立博物館

群馬の遺跡〈4〉古墳時代1―古墳
東アジアに翔る上毛野の首長 綿貫観音山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」119)
スソアキコのひとり古墳部 (コミックエッセイの森)
東国大豪族の威勢・大室古墳群 群馬 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
関東古墳探訪ベストガイド
関東・甲信越古代遺跡ガイド
上州路散歩24コース
PR

 



上州路散歩24コース

著者:群馬県歴史教育者協議会
出版社:山川出版社(千代田区)
サイズ:新書/220p
発行年月:2004年01月
税込 1,470 円

上州路の散歩コースと散歩事典。東国一の古墳文化上毛野、江戸北辺の守り上州、近代化遺産の宝庫群馬、常に時代の先端であった上州の地を訪ねる。
【目次】
第1部 上州路散歩24コース(相沢忠洋ゆかりの地を訪ねる/古墳時代上毛野の豪族をしのぶ/赤城山南麓の古墳群を巡る/上野国府・国分寺周辺を歩く/上野三碑ゆかりの地をたどる/中世新田荘を歩く/上野の名城箕輪城周辺を歩く/白井城と白井宿を歩く/東毛の山城に戦国をしのぶ/上州真田氏ゆかりの地を巡る ほか)/第2部 上州路散歩事典
東国古墳時代の研究

著者:右島和夫
出版社:学生社
サイズ:単行本/394p
発行年月:1994年05月
税込 7,646 円

【目次】
第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

著者:群馬県埋蔵文化財調査事業団
出版社:上毛新聞社
サイズ:単行本/177p
発行年月:2004年11月
税込 1,300 円

【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

inserted by FC2 system