【岸町横穴墓群】
岸町横穴墓群は川越市街地の南部、不老(とししらず)川に目面した標高20mの台地の南斜面に築かれた、古墳時代後期から末期の横穴墓群である。
国道254線の烏頭坂(うとうざか)の東側から、川越市立城南中学校の南西の道路まで約1kmほどにわたり、幾つかの支群を形成して、100基以上の横穴墓が築かれていたと推定されている。
確認されているのは、近年の開発にかかった下記一覧表の20基ほどだが、今も土中に眠っているものが多数存在すると思われる。
調査された横穴墓では、追葬が繰り返し行われたようで、一つの横穴墓から、複数体分の人骨(多くて6体など)が、確認されるものもあった。
斜面のため、自然に崩落したり、開墾により削られることもあり、また盗掘などにより、石室材や埋葬された人骨、遺物が露出したこともあったようだ。
地元では「骨山」と呼ばれていたという話もあり、この山から人骨が出たり、発見された横穴墓に埋葬された人骨を見る機会があり、地元民の間では埋葬の場としての認識があったのかもしれない。
また、台地斜面の上(北)側は集落が営まれていたようであり、城南中学校周辺の「熊野神社西遺跡」は数回にわたり調査され、集落跡などが確認されている。
共同住宅建設にあたり、1987年(昭和62年)に調査された区域の4号墓の北に接して、掘立柱建物遺構も確認されていることから(右の図2参照)、斜面のぎりぎりまで集落が迫っていたようである。

▲図1) 岸町横穴墓群遺跡位置図
(『岸町横穴墓群調査報告書』より)
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