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栃木県の探検古墳一覧


かぶとづかこふん
甲塚古墳
国指定重要文化財 栃木県甲塚古墳出土品
 

※写真は全てクリックで拡大します※


しもつけ古墳群中の一基

この地方の特有の下野型古墳の特徴を持ち、しもつけ古墳群を構成する一基とされる帆立貝形の前方後円墳

飯塚古墳群の北に隣接して築かれている


▲周辺の遺跡地図
 


しもつけ古墳群とは〜

栃木南部(下野市、栃木市、小山市、上三川町、壬生町)で6〜7世紀の間に作られたこの地域に共通する特徴
(下記の下野型古墳の3要素)を持つ大型古墳・有力首長墓(6〜7系譜の古墳群)の総称

下野型古墳の3要素とは〜

(1)墳丘の第1段目に幅広の
「基壇」を持つこと

(2)前方部に石室を持ち、
後円部には内部主体を設けない

(2)凝灰岩切石を用いた
横穴式石室
 

 



▲西側(下野国分寺跡)から

左が前方部、右が後円部だが、
1883・1893年(明治16・26年)の
発掘により、墳丘は十文字に
破壊されてしまっている

出土品は一括して、国の重文に
指定されているが、墳丘は
どこの団体の指定も受けていない
 


▲周溝部分には砂利が
敷かれている、かなり広い

その外側は細かい埴輪片祭り

採集しても復元できないような
細かい埴輪片はそのままに
なっているのだろうが
とんでもない量である

▲栃木県甲塚古墳出土品
国指定重要文化財(考古資料)

 機織形埴輪 2点、人物埴輪17点、
馬形埴輪4点、 須恵器58点、
土師器16点、(附指定)埴輪残欠4点
計97点

女性が機を織る場面を表した2点の
機織形埴輪は、国内唯一の出土例

多彩な人物・馬形埴輪には、
赤・黒・白・灰の4つの彩色が残り、
馬形埴輪には女性が横座りする
際の足置きが表現される

▲甲塚古墳 墳丘と石室の模式図

埴輪列の樹立と石室の様子が分かる

横穴式石室は前方部前縁の
境丘第二段目に南面して築かれ、
地下式の凝灰岩切石使用石室

玄門と羨道との間には
刳り抜き玄門が推定されている
下野型石棺式石室

壬生町の吾妻古墳などと同様
下野型古墳の顕著な特徴
 


残念な埴輪盗難事件

平成16年度、下野国分寺跡の史跡整備に伴い、大掛かりな発掘調査が行われたが、その時、埴輪の盗難事件が起きたという

78点が確認された内、完形に近い良品の埴輪3体だけが夜中に盗まれてしまったとのこと

それでも、右の写真の埴輪達が残ったことは不幸中の幸いだ
 

現在の立地も残念

「下野国分寺・国分尼寺」跡地、しもつけ風土記の丘資料館などがある天平の丘公園と隣接している

公園北西にある下野国分寺跡の西隣に接するが、残念なのが、古墳南側周溝に食い込むように建てられている大人向けのホテル

天平の丘公園周辺は歴史の香り高い地であり、子供達の学びの場としても最適で、また桜の名所ともなっているが県道17号から、東へ天平の丘公園へ入ろうとすると入口にあるのは大人向け施設なのが何ともいえない
 



▲機織形埴輪の彩色復元

この古墳の被葬者は機織に
関わりのある人物だったのか


▲甲塚古墳出土の4体の馬埴輪
@「こうちゃん」 A「甲(かぶと)くん」

髪型や飾りに差があり、奥に
行くほど、飾りがなくなり
シンプルになる(この順番で
並べられていたという)

右下の白馬はこうちゃんを
彩色復元したもので
他の馬も白馬だったようだ
 


▲甲塚古墳測量図

南側に食い込むように
商業施設の建物があるので、
南側の範囲は確認できて
いないようだ



▲現地解説板
下野市教育委員会による
 
所在地地 栃木県下野市国分寺993
所有者:下野市
アクセス
駐車場
 
天平の丘公園、下野国分寺跡の西に隣接
史跡指定 国指定重要文化財(考古資料)
 「栃木県甲塚古墳出土品 一括」
2017年(平成29年)9月15日指定
下野市立しもつけ風土記の丘資料館所蔵
築造年代 6世紀後半〜末
形状 帆立貝型前方後円墳(2段築成)(下野型古墳)
全長:85m 後円部径:63m 
前方部長:85m幅:56m
埋葬施設 横穴式石室(凝灰岩製切石造)
玄室長:3m 玄室幅:2m 玄室高:1. 9m
羨道長:0.6m
出土遺物 【墳丘より】大量の埴輪、土器
周辺施設 【墳丘第一段目】円筒埴輪列
調査暦 1987年(昭和62年) 墳丘・石室の測量調査
2004年(平成16年) 下野国分寺跡の史跡整備に伴う発掘調査
文献    

探検日(写真撮影日) 2019年01月08日
最新データ更新日 2019年04月27日

【参考文献】
探訪 とちぎの古墳
下野の古墳 (1977年) (しもつけ文庫〈4〉)
海老塚古墳 (1981年) (足利市埋蔵文化財報告〈第2集〉)
明神山古墳群 (1985年) (足利市埋蔵文化財報告〈第12集〉)



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