古墳の森TOP群馬県の古墳前橋市(旧富士見村)の古墳前橋市の古墳地図  


                ふにゅうのぞうこつき
前橋市指定重要文化財 
不入の蔵骨器
 

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不入の蔵骨器

前橋市の重要文化財に指定された2基の石造蔵骨器。

蔵骨器(骨蔵器)は、火葬した遺骨を納めた容器で、現在は富士見町石井に所在するが、明治時代に、現在地の北方の五輪平から開墾により出土したものということ。

他に周辺の引田、石井(城楽)、時沢からも同様の石造蔵骨器が出土しているが、蓋石を欠いているとのこと。

一基は、丸い石を重ねたもの、もう一基は丸形の石に屋根型の石を重ねたもので、いずれも土台の石に四角い穴が開いており、その上に蓋石を重ねてある。

その形状などから、蔵骨器が広く普及する奈良時代のものと推定されている。

家型石棺などと比べるとやや低い階層で用いられたという説もあるが、どのような形で古墳に収められていたのか不明なので、何とも言い難い。

群馬県で発見された骨蔵器としては桐生市の武井廃寺塔跡(武井廃寺古墳)がある。

武井廃寺塔跡は骨蔵器が、塔の心礎と考えられ、奈良時代の寺院跡とされてきたが、後の調査により、大王墓の形式として、全国でも稀な八角形墳と確認されている。

格式の高い八角形墳に骨蔵器が収められたとすると、骨蔵器=低い階層とは必ずしも言えないようにも思える。
 

旧・富士見村の古墳

『富士見村誌』では約90基におよぶ古墳の存在が報告されており、「群馬県古墳総覧〈2017〉」では富士見村に74基の記載がある。

現在では耕作等によって削平や縮小されたものが多く、残存する古墳は九十九山古墳、横室古墳公園に保存されている陣場・庄司原遺跡群の古墳などわずかである。
 



▲南から

道の駅「風ラインふじみ」から
北に登って行った寂しい場所

余談だが「風ラインふじみ」は
焼きまんじゅうが絶品!!
 


▲2基の石造蔵骨器

蔵骨器のみ掘り出されて、
この地に安置されている

蓋石を欠いた他の石造物は
廃棄されてしまったのか?

▲左の蔵骨器

丸形の石の土台に
屋根型の石を重ねたもの

▲右の蔵骨器

丸い石の土台に
丸い蓋石を重ねたもの
 

▲現地解説版
前橋市教育委員会による

「不入(ふにゅう)」とは旧小字名か

この地区は古え、「不入の権」を
持つ荘園だったのかもしれない
 


▲現在地の北側

防災ダムなどの建設のため、
遺跡等も発見されたようで、
周辺は調査されたらしい
 

文化財指定 前橋市市指定重要文化財 「不入の蔵骨器」
1973年(昭和48年)3月21日指定
アクセス
駐車場
 
別名 前橋市0743遺跡「不入の蔵骨器遺跡」
所在地

【現在地】群馬県前橋市富士見町石井1116 (旧富士見村)

築造年代

奈良時代

形状 石造蔵骨器 2基
埋葬施設 不明
出土遺物  
周辺施設  
発掘

 

参考資料 2009年(平成21年) 合併(富士見村→前橋市富士見町)による引継ぎのための調査 更新履歴

探検日(写真撮影日)  2020年02月03日
最新データ更新日  2020年06月14日

【参考文献】
□高崎市文化財報告書第404集「若田坂上遺跡2」 市道C-1001号歩道橋整備に伴う埋蔵文化財発掘調査 2018
□高崎市文化財報告書第412集「剣崎東村遺跡」宅地分譲工事に伴う埋蔵文化財発掘調査 2019
□「群馬県史 資料編3」
群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編
群馬の遺跡〈4〉古墳時代1―古墳
東アジアに翔る上毛野の首長 綿貫観音山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」119)
スソアキコのひとり古墳部 (コミックエッセイの森)
東国大豪族の威勢・大室古墳群 群馬 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
関東古墳探訪ベストガイド
関東・甲信越古代遺跡ガイド
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群馬の遺跡(5)

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発売日:2005/01/01
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定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

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