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あまみやこふん(みのわまち3ごうこふん) / あまみやこふんぐん
天宮古墳(箕輪町3号古墳) / 天宮古墳群
 

※写真は全てクリックで拡大します※


天宮古墳

1935年(昭和10年)の群馬県下の古墳の一斉調査では、箕輪町(→箕郷町→現高崎市)に5基の古墳の記載があり、箕輪町3号古墳と採番されている。(上毛古墳綜覧〈1938〉

「石槨あり」として、古くから知られていたようではあるが、1974年(昭和49年)発行の「群馬県遺跡台帳II(西毛編)」の箕郷町の項には記載がない。

群馬県古墳総覧〈2017〉天宮古墳(あまみやこふん)の名で記載されている。

現在、墓地内(北側の松山寺の所有か?)に所在する。

僅かに残存する墳丘は、コンクリートで固められ、石祠などが祀られている。

南側に開口する横穴式石室は羨道から玄室の手前側が失われ、玄室奥の部分のみが残存しているようである。
 

剣菱形杏葉が出土の古墳か?

群馬県埋蔵文化財調査事業団発行の「甲(よろい)を着た古墳人だより vol.10」によると、金井東裏遺跡から「剣菱形杏葉(けんびしがたぎょうよう)」が出土し、群馬県では他に6例 あると記載されている。

(高崎市の保渡田古墳群保渡田八幡塚古墳井出二子山古墳下芝谷ツ古墳天宮(てんのみや)古墳、前橋市の大室古墳群前二子古墳、伊勢崎市の恵下(えげ)古墳)

また、天理大学創立80周年記念 第51回企画展 「東国の古墳文化」での展示物に、群馬県箕郷町の天宮古墳出土の心葉形杏葉楕円形杏葉、飾金具、挂甲 の4点がある。

上記の剣菱形杏葉が出土した高崎市の天宮(てんのみや)古墳と、杏葉2点が展示された高崎市箕郷町の天宮古墳は同一の古墳か。

群馬県古墳総覧」 や他の資料では、上記の杏葉が出土した古墳について確認できず、所在地や名称で合致するのはこの天宮(あまみや)古墳しかない。

群馬県古墳総覧」 には、出土遺物について何の記載もないが、下芝谷ツ古墳も、剣菱形杏葉のみならず、日本最古の金銅製飾履(しょくり・かざりぐつ)など素晴らしい出土品の数々が全く記載されておらず、単に記載漏れの可能性もある。

1990年(平成2年)〜1994年(平成6年)に発掘調査が行われているので、その際に確認されたのかもしれない。

群馬県で剣菱形杏葉を出土した6基の古墳のうち3基は全長100mを超える前方後円墳であり、剣菱形杏葉 を相当な有力者の持ち物だったと考えると、この天宮古墳の被葬者もかなりの有力者だったのかもれしない。

※天宮、天ノ宮(てんのみや)古墳については確認中。
 



▲北側から

階段があり、墳上には石祠がある
 


▲東側から

完全に固められ、土が見えない
 

▲南側に開口する横穴式石室

柵で入れないようになっている
 

▲残存する玄室の奥壁

自然石の乱石積みのよう
 

▲左端(南側)が天宮古墳

周辺は平らにされているが、
分布図では、西側に2号墳
北側に3号墳が記されている
 

天宮古墳群

群馬県古墳総覧」 には近接する番地に、天宮古墳群無名2号古墳天宮古墳群無名3号古墳の記載があり、この天宮古墳を主とするような古墳群が形成されていたと推定される。

2号墳、3号墳は、天宮古墳と共に、1990年(平成2年)〜1994年(平成6年)に発掘調査が行われたようだが、墳型や埋葬施設は既に削平されていたのか不明で、出土遺物も記載されていない。

群馬県古墳総覧」 の「現状」の欄に△印があるので、わずかに残存しているような状態だったのか。

左の写真は「群馬県古墳総覧」 の分布図と所在番地から推定した古墳位置にあったそれらしきものを撮影したものだが、雨宮古墳の北側一帯が何か建物でも建てられるのか、平らにされていたところを見ると、古墳も既に削平されたのかもしれない。
 


▲天宮古墳群無名3号古墳?

僅かに盛土があるような?


▲天宮古墳群無名2号古墳?
 


▲八坂神社の石室と看板
所在地 群馬県高崎市箕郷町上芝園場1131
(マッピングぐんま 上芝茶園場1131)
アクセス
駐車場

高崎市の古墳地図
別名 箕輪町3号古墳 (上毛古墳綜覧)
市遺跡番号02173 天宮古墳「マッピングぐんま」
天宮古墳、天ノ宮古墳(てんのみや)?
形状 円墳
東西:約3.3m(11尺) 南北:約4.8m(16尺)
高さ:約1.8m(6尺))
埋葬施設 横穴式石室
出土遺物 剣菱形杏葉、心葉形杏葉、楕円形杏葉、飾金具、挂甲等??
周辺施設  
調査暦 (測量)1970年(昭和45)〜1971年(昭和46年)
(発掘)1990年(平成2年)〜1994年(平成6年)
更新履歴

探検日(写真撮影日)  2020年11月27日
最新データ更新日  2020年12月09日

文献 『群馬県遺跡台帳原簿(箕郷町)』 群馬県教育委員会、『箕郷町誌』 1975 箕郷町、『箕郷町遺跡地図』 1996 箕郷町教育委員会
【参考文献】
□「甲(よろい)を着た古墳人だより vol.10」 群馬県埋蔵文化財調査事業団発行
□天理大学創立80周年記念 第51回企画展 「東国の古墳文化」
□「群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編」群馬県教育委員会事務局文化財保護課
□上毛古墳綜覧〈1938〉

 


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上州路散歩24コース

著者:群馬県歴史教育者協議会
出版社:山川出版社(千代田区)
サイズ:新書/220p
発行年月:2004年01月
税込 1,470 円

上州路の散歩コースと散歩事典。東国一の古墳文化上毛野、江戸北辺の守り上州、近代化遺産の宝庫群馬、常に時代の先端であった上州の地を訪ねる。
【目次】
第1部 上州路散歩24コース(相沢忠洋ゆかりの地を訪ねる/古墳時代上毛野の豪族をしのぶ/赤城山南麓の古墳群を巡る/上野国府・国分寺周辺を歩く/上野三碑ゆかりの地をたどる/中世新田荘を歩く/上野の名城箕輪城周辺を歩く/白井城と白井宿を歩く/東毛の山城に戦国をしのぶ/上州真田氏ゆかりの地を巡る ほか)/第2部 上州路散歩事典
東国古墳時代の研究

著者:右島和夫
出版社:学生社
サイズ:単行本/394p
発行年月:1994年05月
税込 7,646 円

【目次】
第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

著者:群馬県埋蔵文化財調査事業団
出版社:上毛新聞社
サイズ:単行本/177p
発行年月:2004年11月
税込 1,300 円

【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない
 

 

 

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