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 しんめいやまこふん /はくさんこふんぐん (さきたまこふんぐん)
神明山古墳 / 白山古墳群 (埼玉古墳群)
白山3号墳 / 白山古墳群 (埼玉古墳群)
 

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広義での埼玉古墳群

埼玉県行田市長野(旧長野村)に位置し、史跡・埼玉古墳群(さきたま風土記の丘)と忍川を挟んだ北の対岸に分布する古墳群。

埼玉古墳群と、白山古墳群との間は、最短でわずか60mしか離れていないが、それぞれ別の名称が与えられ、区別されている理由の詳細は(→白山古墳群)。

両古墳群が造営された時代には、両者を隔てるものは何もなく、一つの墓域であったと思われ、特別史跡の範囲には含まれないが、埼玉古墳群として数えられている。(詳細は埼玉古墳群で)
 

白山古墳群

全て円墳で、18基前後と推定されている。

墳丘が残存しているものが3基(白山古墳神明山古墳白山愛宕山古墳)。

調査により周堀が確認されているものが8基であり、その他、クロップマーク(※)などにより存在が想定されている古墳が7基である。

(※) 農地などで、植物がその生育度合いの差によって作り出す模様のことで、埋没した遺跡の上に現れ、発見の手がかりとなる。



白山古墳群分布図 
(「史跡埼玉古墳群総括報告書1」より)
 


白山3号墳

神明山古墳の東に接して所在した古墳跡。

2005年、個人住宅建設のため、「白山3号墳」の調査が行われた記録がある。

史跡埼玉古墳群総括報告書1」に、調査結果が記載されている。

調査は住宅にかかる狭い範囲のみだったようだが、径30m前後の円墳と推定された。

周堀は幅4.2m、深さ80cm。

周堀から出土の全体に赤彩された土師器の高坏(たかつき)が注目される遺物である。

形態と赤彩される点から、丸墓山古墳に近似し、稲荷山古墳出土のものより古いもののようである。

この高坏が、この3号墳に帰属するものとすると、埼玉古墳群中で最初期に築造された古墳の一つ と思われる。

稲荷山古墳の陪塚と考えられている白山愛宕山古墳より古いことになり、共に、埼玉古墳群の始まりを考える上で重要である。
 



▲西側から

西側と南側はソーラーパネルが
並び、古墳に迫っている。
 

神明山古墳

白山古墳群中、残存する3基のうちの1基であるが、詳細は不明である。

資料により記載されているものもあれば、記載されておらず、白山古墳群は現存2基となっているものもあったりと、不思議な古墳である。(私有地内のためだろうか?)
 

「埼玉県古墳詳細分布調査報告書(1994)」には記載されている。

しかし、古くに消滅した古墳まで細かく記述している「埼玉の古墳 北埼玉・南埼玉・北葛飾(2004)」でも、白山古墳群の中に「神明山古墳」の記述は一切ない。

同書では、墳丘が存在しない古墳跡の白山2号墳や、消滅した古墳まで詳しく記述していることを考えると、墳丘を遺している「神明山」に 言及しないのは、未調査の私有地内の古墳としても、極めて不自然に思える。

何か特別な事情かあるのだろうか?

さらに、現在、行田市の遺跡地図にも「神明山」の記載がない。

調査などにより古墳でないことが判明し、遺跡地図から削除された可能性も考えたが、すぐ南に所在する白山愛宕山古墳の解説板(平成24年行田市教育委員会)には「神明山古墳」の名が記されている。


(2020年8月、新資料を以っての追記)

2018年の埼玉県教育委員会により出版された
史跡埼玉古墳群総括報告書1」には、 現存する古墳として記載されているので、古墳として認識されているのは間違いない。

ちなみに、周囲の古墳は、固有の名称を持っていても、別に白山古墳群の通番で、「白山〇号墳」と番号が付与されているのに対し、この神明山古墳については、番号が与えられていない。

なお、白山2号墳と白山4号墳(愛宕山古墳)の間に所在するので、かつては白山3号墳の可能性を考えていたが、白山3号墳はこの神明山古墳のすぐ東に接する消滅した古墳と判明した。 (白山3号墳は左記を参照)
 

調査歴

「神明山」については調査暦が不明であり、現時点でやっていないものと思われる。

おそらく、私有の農地内に現状保存されているため、発掘調査の必要がなかったためではないか。

今後、住宅建設などに伴う調査か、埼玉古墳群周辺の古墳の確認調査が進んで、この古墳も調査されることがあるかもしれない。
 


▲東側から

墳丘は残っているが、耕作等に
より、大幅に削られているようだ
 

▲北側から
 

▲北東から、左側の小山

左の白山古墳群分布図によると、
元々は遥かに大きな墳丘を持ち、
現存するのは、中心の一部のみの
ようで 、この小山や周辺の畑や、
ソーラーパネルが設置されている
周囲一帯が墳丘だったと思われる
 


▲▲白山愛宕山古墳の南側から

奥のソーラーパネルの向こう側に
神明山古墳の墳頂部が見える
 
所在地 埼玉県行田市長野 アクセス
駐車場

駐車場なし
別名  
史跡指定  
築造年代  
形状 円墳
径:19m(埼玉県古墳詳細分布調査報告書)
埋葬施設  
出土遺物  
周辺施設  
調査暦 2005年 白山3号墳 個人住宅建設による発掘調査 更新履歴

探検日(写真撮影日) 
最新データ更新日 2020年08月22日

文献献 □「史跡埼玉古墳群総括報告書1」 埼玉県教育委員会2018
□埼玉県古墳詳細分布調査報告書 (1994)
さいたま古墳めぐり古代ロマンの70基(さきたま双書)
埼玉の古墳 北埼玉・南埼玉・北葛飾 さきたま出版会
埼玉県の歴史 (県史)



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