【飯塚・招木古墳群】
荒川左岸の寺尾の河岸段丘上、南北1,300m、東西300mにわたり展開されている秩父地方最大の群集墳で、大型円墳を小型円墳が取り巻くようにして構成されているが、方墳が存在する可能性も指摘されている。
2020年現在の秩父市のHPでは129基となっている。
埴輪を伴っておらず、副葬品も乏しいことから、埴輪が消滅した後、副葬品を埋葬する風が衰退した、7世紀後半から8世紀前半にかけて郷戸主(※)層が築造した古墳群と考えられている。
【墳頂の盗掘跡に氏神様を祀る】
飯塚・招木古墳群は大きく飯塚、招木地区に分かれており、55号墳は
飯塚地区でも南端の民家のすぐ脇に所在し、古墳群中では小規模の円墳である。
古墳群中、大部分の古墳で、墳頂に盗掘跡の落ち込みが見られ、その盗掘跡の墳頂に神祠を祀る例が5例確認されてるが、この55号墳もその一つである。
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▲北側から民家の建物のすぐ脇に所在し、
南側に天神社を祀っているという
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【天神塚?】
墳頂に祠を祀る5基のうち、天神社を祀るのは、この55号墳のみのようであり、「新編武蔵風土記稿」に見える天王塚(天神塚?)の可能性もある。
しかし、秩父市文化財調査報告書(48年、49年度)では、「古人の天神塚か否かは不明」としている。
「新編武蔵風土記稿」によると、「天王塚」は「高六尺許」とあり、高さに矛盾はないが、「石塚」と記されていることから、葺石があったと思われる。
しかし、この55号墳の調査では葺石は確認されていないようであるので、別の古墳の可能性もある。
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