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かないひがしうらいせき よろいをきたこふんじん / かないいせきぐん
金井東裏遺跡 「甲を着た古墳人」 / 金井遺跡群

※写真は全てクリックで拡大します※


金井遺跡群

金井遺跡群とは、群馬県渋川市の金井地内に所在する金井東裏遺跡金井下新田(しもしんでん)遺跡の総称で、1500年ほど前、西暦500年頃の榛名山の噴火によって埋もれた古墳時代の重要な遺構、遺物が見つかったことで注目されている。

日本のポンペイ」と呼ばれることもある。(他にも、黒井峯遺跡など火山の噴火で埋もれた遺跡が同様に呼ばれることもある)

2012年(平成24年)〜2017年(平成29年)、榛名山東麓から八ッ場ダム方面へ抜ける上信越自動車道の金井バイパスの建設予定地で発掘された。

北側の金井東裏遺跡からは、国内初の甲を着たまま埋まっていた人骨「甲(よろい)を着た古墳人」が発見され、「奇跡の発掘」と言われる。

南側の金井下新田遺跡からは網代垣によって区画された大規模な方形区画施設「囲い状遺構」が発見され、地域首長の拠点と考えられている。


金井東裏遺跡

金井東裏遺跡は南北600mほどの細長い区域を13区画に分けて発掘調査され、そのうち、中央付近の4区から、「甲を着た古墳人」を含む4人の人骨が発見された。

酸性土壌で多雨な場所では骨が分解されてしまい、墓への埋葬以外で人骨が見つかることはまず考えられないということである。

さらに、イタリアのポンペイでも、被災者の姿は空洞で残っていても、中に骨や肉は残存しておらず、火砕流の中から人骨が見つかるというのは、特別な条件が重なって起こった奇跡といえるだろう。

この4区からは4人分のみであるが、他の区画からも人骨や馬の骨が見つかっており、実際はもっと多くの人間が、この場所で被災していたかもしれない。

幼児と乳児の骨はごく一部で状態は良くなかったが、状態の良かった「甲を着た古墳人」「首飾りの古墳人」の2体の実物大レプリカは、群馬県埋蔵文化財調査センターの発掘情報館に展示されている。人骨の詳細はこちら
 

金井東裏遺跡の古墳

「甲を着た古墳人」が発見された4区のすぐ北の9区で、1号墳、2号墳の2基の古墳が発見され、噴火に埋もれる少し前、5世紀後半から末のものと考えられている。

調査区域のすぐ西に所在し、同じ噴火で埋もれた金井丸山古墳も、ほぼ同時期の築造で、同じく渡来系の遺物が出土しており、 この地区に有力な渡来系の集団がいたことが想定される。

群馬県古墳総覧〈2017〉」には、東裏に上記の金井丸山古墳の記載しかないが、今回の調査区域は上信越道が通る部分のみなので、周囲にはもっと多くの古墳が埋もれているかもしれない。



▲東浦遺跡 4区

遺跡の上に上信越道が通る


▲1号人骨 発見場所

 成人男性 「甲を着た古墳人」
レプリカ・複顔など詳細はこちら
 

▲2号人骨 発見場所

 乳児 頭骨の一部

▲3号人骨 発見場所

成人女性 「首飾りの古墳人」
レプリカ・複顔など詳細はこちら


▲4号人骨 発見場所

幼児 頭蓋骨、踵の一部


▲3号祭祀遺構

大量の土器、マツリの道具が出土

▲現地解説板(左)


▲現地解説板(右)

▲金井東裏遺跡 調査区域
1区から13区

写真左が人骨が確認された4区
右が2基の古墳が確認された9区
 

▲金井東裏遺跡1号墳
葺石が火砕流で吹き飛ばされた

2基の主体部が確認されており
男女である可能性があるという
所在地 群馬県渋川市金井字東裏 アクセス
駐車場

別名  
形状 金井東裏遺跡1号墳 円墳 直径:15m
金井東裏遺跡2号墳 円墳 直径:8.3m
金井丸山古墳 墳型不明
埋葬施設 1号墳 竪穴系2基
2号墳 竪穴系
丸山古墳 竪穴系
出土遺物 埋葬施設:馬具、剣
周辺施設  
調査暦 1号墳、2号墳  2012年(平成24年)〜2017年(平成29年) 丸山古墳 (発掘)昭和52.12.21、昭和53.2.1〜昭和53.2.4 更新履歴

探検日(写真撮影日)  2020年11月06日
最新データ更新日  2020年12月30日

文献 『丸山古墳発掘調査報告書』 1978 渋川市教育委員会 『群馬県遺跡台帳原簿(渋川市)』 群馬県教育委員会
【参考文献】
□「古墳人、現る 金井東裏遺跡の奇跡
□「自然災害と考古学―災害・復興をぐんまの遺跡から探る
□埋文群馬 特集「奇跡の発掘 金井東裏遺跡のすべて」 群馬県埋蔵文化財調査事業団
□「古墳人だより 1号〜23号」群馬県埋蔵文化財調査事業団
□「群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編」群馬県教育委員会事務局文化財保護課
□上毛古墳綜覧〈1938〉
「群馬県遺跡台帳II (西毛編)」
群馬の古墳物語 ―東国の古墳と文化を探る― 下巻 少林山台古墳群
群馬の古墳物語 ―東国の古墳と文化を探る― 上巻
ぐんま古墳探訪―見て学ぶ東国文化の輝き

 


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上州路散歩24コース

著者:群馬県歴史教育者協議会
出版社:山川出版社(千代田区)
サイズ:新書/220p
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上州路の散歩コースと散歩事典。東国一の古墳文化上毛野、江戸北辺の守り上州、近代化遺産の宝庫群馬、常に時代の先端であった上州の地を訪ねる。
【目次】
第1部 上州路散歩24コース(相沢忠洋ゆかりの地を訪ねる/古墳時代上毛野の豪族をしのぶ/赤城山南麓の古墳群を巡る/上野国府・国分寺周辺を歩く/上野三碑ゆかりの地をたどる/中世新田荘を歩く/上野の名城箕輪城周辺を歩く/白井城と白井宿を歩く/東毛の山城に戦国をしのぶ/上州真田氏ゆかりの地を巡る ほか)/第2部 上州路散歩事典
東国古墳時代の研究

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第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

著者:群馬県埋蔵文化財調査事業団
出版社:上毛新聞社
サイズ:単行本/177p
発行年月:2004年11月
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【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない
 

 

 

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