古墳の森TOP群馬県の古墳太田市の古墳


          いわあなやまこふん(もりたむら10ごうこふん
太田市指定史跡 巌穴山古墳(毛里田村10号古墳)

※写真は全てクリックで拡大します※


巌穴山古墳

1935年(昭和10年)の群馬県下の古墳の一斉調査では旧山田郡毛里田村(もりたむら・現太田市)で22基の古墳が数えられており、この巌穴山古墳毛里田村10号古墳と採番されている。

7世紀中頃の築造と考えられており、 終末期の古墳としては、太田市内で現存する唯一の方墳で、方墳の性格を知る上で貴重な存在として、太田市の史跡に指定された。

群馬県内でも数少ない方墳の一つで、類似の古墳としては、前橋市の宝塔山古墳の例がある。

太田市の北東部、金山丘陵北東麓の平坦部に所在し、かつては周辺に十数基の古墳が存在しており、巌穴山古墳は古墳群の中心であったと考えられているが、現地解説板(2015年)によると、現存するのは保存状態の悪い4基の円墳のみということである。

この円墳4基の現状については当方では未確認。
 

菅ノ沢遺跡との関係

巌穴山古墳は、金山丘陵北東麓の南向き斜面に所在した菅ノ沢須恵器窯跡群を統括していたの地域の首長の古墳と考えられ、菅ノ沢 (すげのさわ)遺跡 (須恵器窯跡群・古墳群5基) と共に駒澤大学により発掘調査されている。

巌穴山古墳は、菅ノ沢古墳群菅ノ沢御廟古墳今泉口八幡山古墳など)に含まれてはおらず、時期は少し後行するようだが、両者は深い関係があったと思われる。

 



▲西側から

墳丘四辺が東西南北に一致する
 


▲南から石室開口部

真南に向いて開口している

▲羨道部

天井石は失われている
 

▲前室(手前)から玄室(奥)

玄室内はよく見ることがない
 


▲前室の天井石

かなりの巨石を使用している
 

▲現地解説板
史跡指定 太田市指定史跡 1975年(昭和50年)9月22日指定 アクセス
駐車場
 
所在地 群馬県太田市大字東今泉大道西752
別名 毛里田村10号古墳 『上毛古墳綜覧(1938)』
遺跡番号T0151  巌穴山古墳 マッピングぐんま
築造年代 7世紀末頃
形状 方墳 全長:31.2m×30.0m
周堀を含む1辺:51.5m 高さ:5m 周堀(幅:7m)
埋葬施設 両袖型横穴式石室 複室構造(羨道、前室、玄室)
全長約:11m  羨道長:約2.9m、前室長:約2.7m
玄室長約:5.3m 玄室幅:約2.0m 玄室高:1.9m
出土品 埋葬施設:土師器、須恵器堤瓶、釘、刀子、耳環(金銅)、刀装具(金銅)、人骨
駒澤大学、太田市教委に保管
周辺施設 葺石、埴輪列なし
調査暦 1977年3月1日〜4月15日:駒澤大学が学術調査
1981年、土地改良事業に伴う発掘調査
1987年、太田市教委が墳丘測量
更新履歴

第一回探検日(写真撮影日) 2008年05月03日
第二回探検日(写真撮影日) 2019年09月16日
最新データ更新日 2021年01月02日

文献 「菅ノ沢遺跡-巖穴山古墳調査概報-」S53年3月31日、『群馬県史 資料編3』 1981 群馬県、『太田市史 通史編 原始古代(資料編)』 1996 太田市、『群馬・金山丘陵窯跡群U』 2009 駒澤大学考古学研究室
【参考文献】
群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編
□「古墳めぐりハンドブック」群馬県立博物館

群馬の遺跡〈4〉古墳時代1―古墳
東アジアに翔る上毛野の首長 綿貫観音山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」119)
スソアキコのひとり古墳部 (コミックエッセイの森)
東国大豪族の威勢・大室古墳群 群馬 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
関東古墳探訪ベストガイド
関東・甲信越古代遺跡ガイド
上州路散歩24コース



【PR】

 

 

 

 

 

上州路散歩24コース

著者:群馬県歴史教育者協議会
出版社:山川出版社(千代田区)
サイズ:新書/220p
発行年月:2004年01月
税込 1,470 円

上州路の散歩コースと散歩事典。東国一の古墳文化上毛野、江戸北辺の守り上州、近代化遺産の宝庫群馬、常に時代の先端であった上州の地を訪ねる。
【目次】
第1部 上州路散歩24コース(相沢忠洋ゆかりの地を訪ねる/古墳時代上毛野の豪族をしのぶ/赤城山南麓の古墳群を巡る/上野国府・国分寺周辺を歩く/上野三碑ゆかりの地をたどる/中世新田荘を歩く/上野の名城箕輪城周辺を歩く/白井城と白井宿を歩く/東毛の山城に戦国をしのぶ/上州真田氏ゆかりの地を巡る ほか)/第2部 上州路散歩事典
東国古墳時代の研究

著者:右島和夫
出版社:学生社
サイズ:単行本/394p
発行年月:1994年05月
税込 7,646 円

【目次】
第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

著者:群馬県埋蔵文化財調査事業団
出版社:上毛新聞社
サイズ:単行本/177p
発行年月:2004年11月
税込 1,300 円

【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

inserted by FC2 system