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ごんげんやまこふんぐん / ぐんまけんいせさきしとよしろちょう
権現山古墳群 /群馬県伊勢崎市豊城町
伊勢崎市指定史跡 権現山遺跡

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権現山古墳群

群馬で一番低い山とされている「八寸(はちす)権現山」に築かれた直径20mほどの円墳で30基ほどで構成される古墳群。

『上毛古墳綜覧(1938)』には旧殖蓮(うえはす)村の項で、権現山周辺(権現山、権現北、権現西、権現前)に105基を数える古墳が記載されていたという。
(「群馬県古墳総覧」で確認したところ107基。綜覧記載漏れ、権現山北古墳群、権現山南古墳群を含むと115基になる)

古墳群の特徴としては、
 ・いずれも小円墳
 ・石槨式石室で石棺はない
 ・埴輪、武具類が多数出土
などが言われている

昭和25年(1950年)、住宅建設の為、切り崩されようとしたが、相沢忠洋氏によって権現山の丘陵南断崖面の3地点から石器が採集され、日本における旧石器時代研究に大きな影響を与えた という。

昭和初期の耕地整理や、その後の開墾により、ほとんどが破壊、削平され、現在では、権現山周辺は住宅地と化し、山の斜面の松林の中に10数基残るのみである。
 

発掘調査

1970年(昭和45年)、権現山の山裾を東から北へ回る市道の拡張工事の際、山側を2mほど掘削されたが、その際、3号墳の石室がブルドーザーに当たった為、掘削にかかる4基の古墳(1号墳4号墳)の緊急調査が行われた。

中でも、権現山2号墳は県内でも珍しいL字型石室が確認されている。

伊勢崎市のHPでは、「丘陵の東側から北側にかけて」とあるが(1号墳4号墳は東斜面) 、右の古墳名が不明の写真の多くは丘陵の中央から西側斜面に所在する。



山全部が「はちす権現山公園」
として整備されている
 


豊城入彦命の墳墓説

蓮神社が鎮座する権現山には豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)の墓という言い伝えがあり、これが豊城町(とよしろちょう)の名の由来になっているとのこと 。
豊城入彦命は、東国を平定し、上毛野氏や下毛野氏の祖となった)

総社二子山古墳前二子古墳など豊城入彦命の墳墓とされる古墳は群馬県内に複数存在する 。

権現山古墳群は小規模の円墳で構成されており、このうちの一つが豊城入彦命の墳墓とは考えにくい

武器類の出土が著しいことから武人の墳墓ではないかという説もある。

 



▲「群馬県古墳総覧」「群馬県史」などの資料を基に作成した古墳分布図

古墳位置、番号が推定できたもののみで、この他、
10数基の古墳と思われる跡が権現山内に所在している
 


権現山1号墳


権現山2号墳

 


権現山3号墳

 


権現山4号墳


殖蓮村205号墳(権現山)

 


殖蓮村232号墳


殖蓮村240号墳

 


殖蓮村255号墳


殖蓮村335号墳
 


▲蓮神社の西側


▲山頂から下る道沿いにも
 


▲北側の斜面に所在する


▲北側の斜面に所在する
 

▲南西側に所在する墳丘

▲南西側に所在する墳丘
 

▲左の墳丘上の石

▲中央付近に露出する石材

▲中央付近に露出する側壁?
 

▲石室が大きく陥没した跡

▲蓮(はちす)神社

権現山中央付近に鎮座する
 

▲権現山山頂の碑と
伊勢崎市指定文化財の
「八寸権現山の宝塔」
 

▲はちす権現山公園案内板
洞山古墳群 一覧
名称 現状 墳形 主体部 出土遺物 年代 その他
権現山1号墳 円墳 横穴式石室   7世紀前半  
権現山2号墳 不明 横穴式石室(L字形)   6世紀前半  
権現山3号墳 × 円墳 横穴式石室   6世紀後半  
権現山4号墳 × 円墳 横穴式石室   6世紀後半  
殖蓮村205号墳(権現山) 円墳        
殖蓮村232号墳 × 円墳        
殖蓮村240号墳 × 円墳        
殖蓮村255号墳 円墳        
殖蓮村335号墳 × 円墳        
 他多数            
所在地 群馬県伊勢崎市豊城町1989-3 アクセス
駐車場

伊勢崎市の古墳地図
史跡指定 伊勢崎市指定史跡 「権現山遺跡」
1966年(昭和41年)4月12日指定
群馬県古墳総覧」では1号、2号墳のみ「市史跡」
別名  
築造年代  
形状  
埋葬施設  
出土品  
周辺施設  
調査暦    

探検日(写真撮影日)  2019年04月22日
第二回探検日(写真撮影日)  2019年09月16日
最新データ更新日  2019年10月02日

【参考文献】
群馬県古墳総覧〈2017〉本文・一覧表編/古墳分布図編
□「古墳めぐりハンドブック」群馬県立博物館

群馬の遺跡〈4〉古墳時代1―古墳
東アジアに翔る上毛野の首長 綿貫観音山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」119)
スソアキコのひとり古墳部 (コミックエッセイの森)
東国大豪族の威勢・大室古墳群 群馬 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
関東古墳探訪ベストガイド
関東・甲信越古代遺跡ガイド
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著者:右島和夫
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【目次】
第1章 保渡田古墳群の研究/第2章 上野における群集墳の成立/第3章 上野の初期横穴式石室の研究/第4章 上野における横穴式石室の変遷/第5章 角閃石安山岩削石積石室の成立とその背景/第6章 総社古墳群の研究/第7章 截石切組積石室の研究/第8章 古墳からみた5、6世紀の上野地域/第9章 古墳からみた6、7世紀の上野地域
群馬の遺跡(4)

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【目次】
第1章 古墳時代の群馬は元気だった―群馬古墳学入門/第2章 豪族居館の発見/第3章 埴輪と古墳と古墳時代/第4章 巨石横穴式石室と豪華な副葬品―綿貫観音山古墳とその被葬者/第5章 多田山の唐三彩が語る歴史/第6章 群馬における古墳研究の歩み―『発墳暦』から観音山古墳・三ツ寺1遺跡まで/学習へのいざない
群馬の遺跡(5)

出版社:上毛新聞社
発売日:2005/01/01
サイズ/ページ:21cm/
定価:1,301 円

目次:
第1章 こうして古墳時代は始まった
第2章 黒井峯遺跡の発見
第3章 水田と畠
第4章 炉からカマドへ、農民たちの生活
第5章 群馬県の古墳時代集落研究のあゆみ―入野遺跡から黒井峯遺跡まで
学習へのいざない

 

 

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